Wi-Fi 6とは何か、そしてなぜそれが優れているのか。最も重要な点を整理しておきましょう。Wi-Fi 6は、Wi-Fi 5に比べて理論上の最高速度が約250%向上した、ワイヤレス技術の最速プロトコルです。Wi-Fi 5の最大スループットは3.5Gbpsでしたが、Wi-Fi 6では9.6Gbpsと大幅に向上しています。
ただし、これらはあくまでも理論上の速度であり、自然な環境では最大のスループットを発揮できないことを覚えておきましょう。しかし、数字が向上したことは事実です。Wi-Fi 6は、Wi-Fi 5よりもはるかに多くのデータを処理できます。
アップグレードを検討する際、Wi-Fiの速度は多くの人が優先する要素ですが、Wi-Fi 6では、より重要な問題である接続の安定性を強化しようとしています。ここで第6世代のWi-Fiプロトコルの真価が発揮されます。
Wi-Fiにはいくつかの規格があり、それぞれ最大通信速度や周波数帯が異なります。自分のニーズに合った最適なWi-Fiルーターを選ぶためには、Wi-Fi規格について知っていると役に立ちます。
以下の表は、各Wi-Fi規格の世代、新名称、正式名称、主な機能を示したものです。第3世代以前のWi-Fi規格には新名称がありません。
世代 | 新呼称 | 正式名称 | 周波数 | 最大通信速度 |
---|---|---|---|---|
第6世代 (2019年) | Wi-Fi 6 | IEEE 802.11ax | 2.4GHz帯 / 5GHz 帯 | 9.6Gbps |
第5世代 (2013年) | Wi-Fi 5 | IEEE 802.11ac | 5GHz帯 | 6.9Gbps |
第4世代 (2009年) | Wi-Fi 4 | IEEE 802.11n | 2.4GHz帯 / 5GHz帯 | 600Mbps |
第3世代 (2003年) | IEEE 802.11g | 2.4GHz帯 | 54Mbps | |
第2世代 (1999年) | IEEE 802.11a IEEE 802.11b | 5GHz帯 2.4GHz帯 | 54Mbps 11Mbps | |
第1世代 (1997年) | IEEE 802.11 | 2.4GHz帯 | 2Mbps |
どの家庭にも、ワイヤレスでネットに接続できる機器があります。第5世代Wi-Fiが最速の選択肢であった2014年には、アメリカの家庭におけるほとんどの無線接続が平均5台のデバイスをサポートしていました。
それから7年が経過した現在、サポートできるデバイスの数は9台に増えています。技術の専門家は、スマートホームやIoTデバイスの増加に伴い、数年後には一般家庭で最大50台のハードウェアが接続され稼働するようになると予測しています。
Wi-Fi 6は、この点で大きな違いがあります。スループットのしきい値が9.6 Gbpsに向上したことで、ワイヤレスネットワークへの負担が軽減され、多くの機器が安定した高速接続を維持できるようになりました。
Wi-Fi 5のルーターは多くのユーザーが接続すると負担がかかり支障が出る可能性がありますが、Wi-Fi 6では混雑に対処できる能力が格段に向上しています。Wi-Fi 6に対応したルーターに接続していれば、第5世代ネットワークのような過負荷や速度低下は起こらないはずです。
公衆Wi-Fiネットワークは、この点で大きなメリットがあります。電車の中やカフェなどの混雑したホットスポットでも、接続が改善されたことで圧倒的な遅さはなくなります。
この新しい技術では、セキュリティと電力効率が考慮されています。Wi-Fi 6の接続は、WPA3セキュリティプロトコルで強化されます。WPA3は、現代の住宅で頻繁に見られるようになった膨大な数のIoTデバイスを保護するためのものです。
Wi-Fi 6に接続すると、デバイスのバッテリー消耗が以前より速くなくなったことを実感するかもしれません。それは、Wi-Fi 6で導入された消費電力機能TWT(Target Wake Time)が関係しています。TWTによって、特定の時間にデバイスがWi-Fi接続に接続したり切断したりするようにスケジュールを組むことができます。これは、常時接続を必要としない低消費電力のIoT家庭用機器に最適です。
Wi-Fi 6は、現代の生活を反映して設計されています。先進国のワイヤレスネットワークは、スマートホーム機器の負担増に悩まされています。この革新的なWi-Fiプロトコル技術により、1つの家庭で多くの機器を接続して、ネットワークに負担をかけずにHDストリーミングやゲームを楽しむことができるようになるのです。
Wi-Fi 6は登場したばかりの技術なので、Wi-Fi 6技術を搭載したスマートフォンやノートパソコン、ルーターなどは高価なものもあります。また、Wi-Fi 6を十分に活用するためには、ギガビットクラスのブロードバンド接続が必要不可欠です。
もう一つのデメリットは、ネットワークの範囲です。Wi-Fi 6は、ルーターと機器の間に障害物があると信号が途切れる頻度が高くなります。
Wi-Fi 6は2020年になってようやく普及し始めた比較的新しい技術なので、効果を実感するには新しいハードウェアが必要です。
しかし、すぐに古いハードウェアを捨ててしまうのではなく、お手持ちの機器の寿命に合わせて、必要に応じてアップグレードすることをおすすめします。2020年以降に発売される新しいデバイスは、すべてWi-Fi 6に対応しているはずです。
早い段階でWi-Fi 6に切り替えたい場合は、Wi-Fi 6対応のルーターを購入するといいでしょう。今、ルーターをアップグレードしておけば、将来、新しいデバイスに対応できるようになります。また、Wi-Fi 6は下位互換性があるため、Wi-Fi 6のルーターでWi-Fi 6非対応のデバイスに接続することもできます。
Wi-Fi 6対応のスマートフォンやパソコンは徐々に出てきています。iPhone 12、iPhone 11シリーズ、iPhone SE(第2世代)、Galaxy S10/S20シリーズなどで対応しています。
また、新型MacシリーズやWindows 10を搭載しているパソコンにはWi-Fi 6に対応しているものもあります。ここからは、お使いのデバイスでWi-Fi 6を使用しているか調べる方法を紹介します。
Windows の場合
Macの場合
Wi-Fi 6と5Gは、お互いの弱点を補い合います。5Gは、第5世代の次世代移動体通信システムで、基地局による広域通信を得意とする技術です。一方Wi-Fi 6は、限られた狭いエリアでの通信に特化しています。
Wi-Fi 6は、オフィスや飲食店など狭い範囲で多くの人が同時に通信する場合に役立ち、5Gは屋外や長距離での通信が必要な場合に役立ちます。
インターネット接続ではスピードも重要ですが、セキュリティも見逃せません。どんなに高速なWi-Fiでも、ブラウジング中のデータをハッカーに盗み見られることは避けたいはず。
悪意のある第三者やサイバー犯罪者からデバイスを確実に守りたいなら、VPN(仮想プライベートネットワーク)の利用をおすすめします。VPNとは何かいうと、インターネット上に仮想の専用線を作り、覗き見や改ざんなどの脅威から大切な情報を守る仕組みです。NordVPNなどの高品質なVPNサービスを利用すれば、安全性に妥協することなく、Wi-Fi環境下でもデータの機密性を保ち、高速通信を実現できます。